2024年5月に日本産業衛生学会、6月に日本血栓止血学会の学術集会へ参加しました。
今回の日本産業衛生学会の副題は「サイエンスに基づく組織と労働者の両立支援」とあり、メインシンポジウムの『循環器病対策基本法を踏まえた両立支援』を聴講しました。たまたま、今春に他領域のお仕事でメディカルソーシャルワーカーの方に難病患者の就労支援について取材をさせていただいたこともあり、がんサバイバーや難病の方、四肢麻痺の残る方などの就労について関心を持つようになったところでしたので、大変興味深く聴講しました。
生きていくには働かなければならないし、何よりも「働きたい」という気持ちを諦めたくない。治療が進歩するにつれて、今度は患者さん側、企業側での就労支援が重要視されるようになってきました。誰しもが産業医が常駐するような大企業に勤めているわけではなく、多くが規模の小さな中小企業の従業員や個人事業主であり、そうした方々をどのように支援していくかが課題とのこと。他人事ではないように感じた次第です。
日本血栓止血学会では、いよいよ血友病の遺伝子治療を受けられる方が欧米に増えつつあるということで、治療を受ける際のShared Decision Making(SDM)についての発表が印象に残りました。エビデンスが高くない治療であれば特にSDMが大切であり、それには医師と患者とのコミュニケーションが益々大切になってくること、コミュニケーションの場においては、感情・同情(Sympathy)よりも認知・共感(Empathy)がより重要で、医師だけではなく看護師やリハビリテーション科、ソーシャルワーカーも含めたチームでのSDMが必要とのお話でした。
がんを外来で治療する時代、難病の症状を抑制しながら生活を続けていく時代に、製薬情報や治療情報だけでなく、支援情報を発信していくことが求められているのだなと切に感じました。